ブラッとするには 丁度良い距離

by スタジオ亜空間

☆ 未来を探して 今日も何処かを ブラッとしています 平岡莉貴 ☆

スナップショットの風景


 前回は少し堅い話になってしまった。
  私自身ストリートチルドレンについて、妙な思い入れがあったものでして・・・。で今回から再び楽しい話に戻ります。
           
  さて今日はSCJフィリピンオフィスにとって一つの節目である、新事務所の開設セレモニーがある。
  いったいどの様な人々が集まってくるのだろうか? それによってSCJ活動の受け入れられ方がわかるだろう。
  マカティー市に新しく出来たフィリピンオフィスは3階建ての白い建物だった。スタッフが準備に忙しい。理事長の立野氏ほか理事の方々は正装に着替えている。それでは私も、と言いたいところだが、ジーンズを綿パンに履き変えただけ。
           
  会場に当てられた部屋は、30畳程の広さの洋間(当り前だ)で丸テーブルが4ツ並べてある。
  一通り見回って、撮影プランを練ることにする。
  会場の後ろに椅子を確保して、そこに登って撮影すればいい。28mmレンズで正面を、90mmで来賓のアップ。椅子を降りて動き回るときは50mm。うん、完璧だ。
  時間が来て司会者が案内を始めた。
  よし、作戦開始だ。
  用意した椅子に登り、司会者のアップから狙い始めた。
  「うん??」
  来賓たちが立ち上がって移動し始めたではないか。司会者の言葉に耳を傾ける。
  「テープカット」
  そう聞こえた。
  そうだった。テープカットをする、という事は確か聞いていた。どこで行なうのだ。しまった。そこまで確認をするのを忘れていた。あわてて椅子を降り、カメラを担いで走り始めた。
  狭い出口に人が一杯いる。動けない。
  「どこ? どこ? テープカットはどこ?」
  テープカットの行なわれる出入口前の廊下は、すでに人で埋まっていた。
  何とか前に回り込んだが、ここは廊下だ。引きがない。
  引きがないと言うのは撮影用語で、[全体を撮す為に後ろに下がる余裕がない]と言うことだ。ワイドレンズは28mmしか用意してこなかった自分が情けない。
  後ろの壁に身体を押し付けても、一人欠ける。ここは2枚に分けて撮るしかない。狭いから仕方がないと、言い訳することにしよう。
           
  セレモニーが終れば、それぞれテーブルを離れ自由に交流が始まる。
  始めて出会った人たち。久しぶりの再会。それぞれに表情が豊かだ。
  ストロボの出力を1/3に絞り、スナップショットが始まる。私の得意な撮影だ。屋上には色々な食事が用意されている。日本食だ。テンプラ、寿し、等など。
  自由に取る。いわゆるバイキングスタイルになっている。片隅ではSCJフィリピンスタッフのロランド達がにわか仕立てのカウンターで飲物を配っている。
  私はコークを貰い、適当に食事をする。それより撮影だ。
  屋上、3階の会場といいショットを求めて動き回る。
  「ゆっくり食事をしてくださいよ」
  上田ディレクターが言ってくれるが、私は動いている方が楽しい。
           
  ここで今日の来賓のうち1名だけ紹介しておこう。本来のSCJフィリピンミッションレポートであれば、他に紹介しなければならない大事な人物がいるが、このレポートはそうではない。ワイドショー的ノリで書いているので、許して頂こう。
  クリスティーナ。
  ラモス フィリピン大統領の娘さんだ。テープカットでも彼女が華を添えている。雑談の姿。食事風景。こんな機会でも無いかぎり彼女のスナップショットは出来ないだろう、とばかり、しつこく狙った。
  しつこく狙ったが、彼女は嫌な顔ひとつ出さない。さすがだな。と思っても見たが、結局まったく無視していたんだろうね。たんなるカメラマンなんぞのことは。
  いかにもフィリピン娘と言った感じは、その明るさから感じたが、残念ながら私の胸にある「フィリピン娘」は、もう少しスマートで有って欲しい。ちょっと残念だったなぁ。
  スナップショットが始まれば、有る程度強引になる。もちろん、被写体に対しては礼儀を忘れてはいけない。これはマナーだ。礼儀をつくしていれば、普通では失礼になることも、失礼では無くなってしまう。人間関係を大事にしなければならない由縁だ。
  言葉のコミュニケーションがちょっと難しい場合でも、頭を軽くさげ、会釈すればそれでいい。笑顔も忘れずに。
  が、ジャーナリスト同士ではそうは言ってられない。
  当日テレビの取材も来ていた。カメラマンと助手の二人だった。
  やはり考えることは同じだ。同じ所に立って、カメラを向けることは良くある。
  イベントの一つとして、少年少女の音楽隊が演奏を始めた。TVカメラが動く。私も動く。カメラを構えた瞬間、TVカメラのフードが前に延びてきた。
  思わず、
  「邪魔だー」
  と、顔では笑顔を作りながら、日本語で言った。
  「すみません」
  カメラマンはファインダーから眼を離し、すまなさそうに、なんと日本語で言った。
  日本人だった。
  「あっ、いや、どうぞ」
  その読売テレビの日本人カメラマンとは、その後譲り合いながら撮影を続けたのは言うまでもない。
           
  セレモニーの「わいわいがやがや」風景は次回にも続く。
           

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