ブラッとするには 丁度良い距離

by スタジオ亜空間

☆ 未来を探して 今日も何処かを ブラッとしています 平岡莉貴 ☆

電話の相手


「ちょっと電話をしてきます」
  ドライブインで食事をして、車に戻ってきたときに、彼女は言った。
  つい先ほど公衆電話の前を通り過ぎたばかりなのに、なぜその時に電話をしなかったのだろう。
  再びドライブインに向かって歩く彼女を、車のドアを開けながら見送った。
           
  僕に知られてはマズい相手なのかな?
           
  ドライブシートに座って、今、公衆電話の前に立った彼女を見た。
  バッグからケースを取り出し、引き出したテレフォンカードをスロットに入れた。
  誰に掛けて居るんだろう。僕は想像する。
           
 「もしもし。私。今ね友だちと須磨のドライブインで食事をしていたの...。いやん、彼じゃないよぉ、男だけど ...。うん、夕方JR神戸駅まで送ってもらうわ。それから、もちろん、ずっとあなたと一緒」
  楽しそうな表情で話をしている彼女はステキだ。
  やがて受話器を置いて、ドライブインから出てきた。
  少なからず、電話をする前より浮かれている気もする。
  本当は誰と話していたんだろう。
  彼女が戻ってきて、最初に何と言うのだろうか? 楽しみだ。
  たぶん、
 「姉に電話をしていたの」
  と、言うと思う。
  僕は詮索しないことにした。


ページ先頭へ 前へ 次へ ページ末尾へ